補償・示談について知りたい 交通事故を起こした後、補償や示談がどこまで出来るのか
流れなどご不明な方は一度、ご相談ください。

治療費のお支払いについて

初めての通院・転院について

本来、交通事故によりケガや入院をして、被害者が病院で治療をした場合、私たちが
日常生活で病院の診療にかかるのと同じように、治療費を支払うのは患者である被害者です。
ですが、交通事故による治療を行い、加害者側が任意保険に加入している場合は、通常、
加害者側の任意保険会社が、被害者が通院している病院へ直接治療費を支払われることになります。

  • 通常の治療

    治療費を支払うのは患者自身

  • 交通事故による治療

    加害者が任意保険に加入している場合
    任意保険会社が病院へ支払い

  • 加害者が任意保険に加入している場合(通常はこのケースが多い)

    加害者の任意保険会社は被害者の通院する病院へ、治療費の
    支払い方法などを連絡しなければなりません。
    通院している病院にMRIなどの画像撮影を行う機器がない場合、
    MRI検査のために、他の病院へ紹介状が出されることが良くあります。
    その際、保険会社へ紹介先の病院を伝えておかないと、実際、通院した時に、病院へ支払を請求されたり、検査が受けられないこともあるので、被害者は加害者へ必ず連絡するように伝えてください。

  • 加害者が任意保険に加入していない場合

    加害者が任意保険に加入していない場合は、被害者が治療費を一時的に立て替えます。
    その後、被害者が加入している強制保険である自賠責保険に被害者本人が請求します。
    ただし、自賠責保険で補償される傷害についての保険金は、120万円が上限とされていますので、治療費の自己負担を少額にするためにも、健康保険などを利用することをお勧めします。

保険診療自由診療

自由診療とは保険が適用されない診療のことで、医療行為の内容や診療報酬についての制限がないため、
医療費を病院側が自由に決めることができます。
一般的には、治療費は保険診療よりも高額になりますが、先進医療などを受けることもできます。
保険診療は、健康保険が適用になる通常の治療のことで、診療報酬額が決められているため、どの病院でも
同じ金額で診療を受けることができます。通常、治療費の3割が自己負担となります。

自由診療と保険診療どっちがお得?

正直ケースバイケースとなります…
基本的に被害者に過失がない場合は自由診療となることがほとんどです。
逆に、過失があるまたは治療が長期化して、治療費が高額になりそうな場合は
保険診療を進めることもあります。

  • 自由診療のメリット

    一般的に、自由診療の場合は診療に制限がないため、質の高い医療を受けることができると言われています。
    実際に、自由診療で受診される患者に対しては、医師や病院スタッフが親切という話もあります。

  • 保険診療のメリット

    例えば、自由診療で受診し、完治するまでに総額100万円の治療費がかかったとします。被害者に過失がない場合は、 100万円全額が加害者の負担となり、被害者の負担はあり ません。
    しかし、被害者にも過失がある場合、100万円にその過失を 乗じた金額(40%なら40万円)は自己負担になります。 この時、保険診療で治療を受けていれば、そもそもの治療費 は3割負担分の30万円です。
    ですから、最終的な治療費の自己負担額は、30万円の40% の12万円となり、18万円も自己負担を軽減することができます。

     ※実際には保険点数や保険診療の内容により金額が 異なるため、あくまでも一例です

交通事故の場合は
健康保険が利用
できないと言われた!?

交通事故だからといって健康保険が利用できないということはありません。 少し古いですが、厚生省(現在の厚生労働省)からの通知に

「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について、誤解のないよう、住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるように指導されたい(一部抜粋)」と明示されています。

さらに、医師法では「医療に従事する医師は、診察診療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならない」と規定しています。ですから、交通事故の場合も健康保険の利用は可能です。
ただし、、、実際に交通事故の事案を対応していると健康保険の利用を理由に、診察時間が非常に短かったり、さらには、後遺障害が残存しているにもかかわらず、

「当院は健康保険で受診されたかたの後遺障害診断書は作成しない方針です」

と言われた経験もあります… もちろん一概には言えませんが、健康保険の利用ができないという病院には お世話にならない方が結果として良いのかもしれません。

治療費・休業補償の打ち切り

交通事故から時間が経つと、

   「休業の必要性はなくなった」  「治療の必要性はなくなった」

と勝手に判断し、休業補償・治療費を打ち切ってくることがあります。
それは保険会社の勝手な判断なので、仕事を休み続けるのも自由ですし、
健康保険や労災保険に切り替えて治療を続けるのも、被害者の自由です
しかし、「休業の必要性」や「治療の必要性」については、
被害者が証明しなければならないというのがルールなので、様々な準備が
必要になります。

被害者ご自身の主治医に「現時点でどの程度の仕事ならできるか」「いつから仕事を再開できるか」といったような内容の質問書を送付が必要

▶主治医 は、その質問がどのような意味や効果を持つのか分からないまま、

「現時点でも事務仕事ならできるかもしれない」
「1か月休業すれば仕事を再開できる可能性が高い」

と回答されるケースが多い

注意

保険会社は、主治医の回答を見て、休業損害を打ち切れる時期に休業損害を打ち切るわけです。
しかし、主治医は、被害者の職場環境や業務内容について詳しく知らないまま、一般的な意見として回答しているだけなので、被害者が職場復帰できると回答しているわけではありません。
職場復帰が難しいのであれば、職場環境や業務内容について詳しく伝えて、日頃から主治医に休業の必要性を理解してもらっておく必要があります。

後遺症の補償のことも考える

このように、休業補償や治療費の打ち切りに対策を講じる必要が
あるわけですが、休業補償や治療費が一定期間しか認められない補償で
あるのも事実です。打ち切りの時点でも症状が残っているのであれば、
症状の改善が難しくなっている可能性が高いと思われるので
後遺症の可能性を考えなければなりません。
治療がそれほど効果をあげなくなった場合、後遺症として補償を受けること
に切り替える方が、より賢く賠償金を獲得することができる場合があります。

休業損害について

休業損害とは

休業損害は、交通事故による被害者が受傷した傷病の治癒、または後遺障害の症状固定までに治療や療養によって、休業したり、事故以前と比較して通常の就労ができないことによって生じた収入の減少額(経済的利益の喪失)が損害となります。

基本的には被害者が事故に遭った時点で、現実として就業による収入を得ていたことを前提として実際、休業により収入の減額が生じている場合に補償されます。
事故以前収入に基づき、現実の収入減を補償するもので、休業だけでなく、遅刻や早退なども損害になります。

休業損害の算定方法

休業損害の算定方法は、1日あたりの収入額(収入日額)×休業日数によって算定します。
※自賠責保険の基準では、原則、1日5700円として算定されます。

被害者が有職者の場合
基本的には被害者が事故に遭った時点での、実際の給与支給額や収入に基づいて計算されますが、収入の算定が困難な場合、または主婦(家事従事者)の算定には賃金センサスにより算定します。

センサスとは賃金

日本の労働者の職種、性別、年齢、学歴などを明らかにし、賃金構造の実態を詳細に把握することを目的として毎年実施されている賃金構造基本統計調査の結果をとりまとめたものです。
被害者の性別や年齢、学歴を当てはめ、統計上の平均年収を採用することができます。

休業損害は
誰でも請求できるの!?

休業損害の計算や、請求するための書類などは、被害者の職業などによっても変わります。
弁護士や保険会社は以下のとおりに分類していることが一般的で、それぞれ算定方法や請求に必要な書類なども違います。

1 有職者 給与所得者 事業所得者 会社役員
2 無職者  
休業損害を請求するためには

休業損害を請求するためには、事故前と事故後の収入、
休業などによって就労に影響が生じた期間やその程度を立証するための書類を提出しなければなりません。
必要とされる書類は、職業などによっても違いますが、一般的には以下のとおりです。

給与所得者の場合、必要な書類
  • 保険会社所定の休業損害証明書
    ※休業損害証明書は被害者自身が作成するものではありません。勤務先に
     作成をお願いします。欠勤期間やその期間中に給与を支払ったかどうか、
     事故前3か月間の給与などを記載します。

  • 事故前3か月分の給与明細

  • 事故前年度分の源泉徴収票

  • その他、賞与などが減額になっていればその支給を証明する書類など

事業所得者の場合、必要な書類
  • 確定申告書の控え
    ※休業損害証明書は被害者自身が作成するものではありません。勤務先に
     作成をお願いします。欠勤期間やその期間中に給与を支払ったかどうか、
     事故前3か月間の給与などを記載します。

  • 確定申告書の添付書類
    (収支内訳書、決算書など)

  • 住民税課税証明書

  • 納税証明書

  • 帳簿、領収書、取引先の
    支払い証明など

事業所得者の場合、基本的には①と②の確定申告書類の提出のみで立証は可能です。
 ただし、税務署の受付印を得ていない場合や、申告内容に疑義がある場合などは、③や④、⑤などのその他の書類を求められることがあります。

それぞれの休業損害について

給与所得者の休業損害について
給与所得者とは

給与所得者とは、雇用契約などの法律関係のもとに労務を提供し、その対価として所得を得ている人を言います。
アルバイト、パートなども給与所得者です。
ただし、兼業主婦、つまり、生計を同じにする家族のなかで、被害者以外に収入を得ている人がいて、被害者が家族のために家事に従事しながら、生計の補助的な給与所得者(パートなど)をしている場合は、家事従事者として休業損害を請求した方が、請求金額が高くなる可能性があります。

給与所得者の基礎収入、給与額の算出方法

大きく分けて、2つの方法があります。

  • 事故前3か月の
    平均給与を
    基礎収入とする

  • 1年間の年収を
    基礎収集とする

一般的には、①の方法をとることが多く、事故前3か月の平均給与を基礎収入とします。
この給与額には、基本給だけでなく、各種手当(住宅手当、超過勤務手当、残業代、皆勤手当など)を含みます。また、所得税や住民税などを控除した、いわゆる手取り額ではなく、支給総額に基づいて平均給与を算定します。

休業による昇格・昇給昇格遅延による減収

交通事故による欠勤により、昇格されたり、事故前と同様に就労ができていれば、なされた昇給や昇格が、なされなかった場合は、本来支給されるべき金額と実際の支給額の差額を損害して請求することができます。
実際、交通事故による欠勤のために降格、部署異動をともなう配置転換となり、給与が減額した被害者に対して、損害として補償された事例もあります。

※ただし、昇給や昇格がなされたかもしれないという「可能性」ではなく、約束されていたという事実や、会社側がそのような対応をとることになった原因が
 被害者のそもそもの労務成績などではなく、交通事故が原因、理由であることを立証する必要があります。

有給休暇を
使用した日は
欠勤になるの?

交通事故によって就業できない期間に、有給休暇を使用した場合、実際は給与は全額支給されるため、休業損害は生じません。

しかし、有給休暇は労働者のもつ権利として、財産的価値があるものと解釈されているため、交通事故によって有給休暇を使用せざるを得なかったことから、使用した有給休暇の日数分の賠償を請求する ことができます。

事業所得者の休業損害について
事業所得者とは

個人事業主、自営業者、自由業者(開業医、芸能人、プロスポーツ選手)などを言います。

無申告・過少申告の場合

交通事故による欠勤により、昇格されたり、事故前と同様に就労ができていれば、なされた昇給や昇格がなされなかった場合本来支給されるべき金額と実際の支給額の差額を損害として請求することができます。
実際、交通事故による欠勤のために降格、部署異動をともなう配置転換となり、給与が減額した被害者に対して、損害として補償された事例もあります。
ただし、昇給や昇格がなされたかもしれないという「可能性」ではなく

約束されていたという事実や、会社側がそのような対応をとることになった原因が、
被害者のそのものの労務成績などではなく、交通事故が原因、理由であること

を立証する必要があります。

事業所得者の基礎収入の算出方法

基本的には、得られたはずの売上額から、この売上額を得るために必要としたはずの原価や経費を控除して算定します。

売上額は、原則として事故前年の所得税確定申告書類に記載された額としますが、収入額に相当な変動がある場合は、事故前数年分を用いることもあります。原価や経費については、休業前の実績の平均的数値に基づいて判断しますが、やはり、基本的には事故前年の所得税確定申告書類から算出します。

経費

流動経費(変動費) : 休業によって支出を免れる経費(人件費や材料費など)
固定経費      : 休業に関わらず、事業を維持、継続するための支出(家賃や公共料金など)

事業所得に、事業者本人の稼働による利益だけでなく、家族や従業員などの被害者以外の第三者の労務の提供による利益が含まれる場合被害者本人の稼働による利益分のみが休業損害の対象となります。

事故前後の収支状況や営業状況、業種や業態、事業所得者の職務内容、稼働状況、
家族や他の従業員の関与の程度、給与額などから被害者本人の寄与率がどの程度だったのかの判断が重要です。
※なお、土地や建物などの不動産の賃料や利子に基づく利益が事業所得に含まれている場合も、これらの利益は休業損害の対象にはなりません。

会社役員の休業損害について
会社役員の休業損害とは

会社役員は、会社との委任契約に基づいて、経営業務を委託され受任した人です。
会社役員と言っても、会社の規模や勤務形態は様々で、例えば、個人会社の社長のように、その実態は個人事業主に
あっている場合には、事業所得者として算定し、請求します。

会社役員の労務対価とは

一定規模の会社役員として勤務している場合、役員報酬の報酬には二面性があります。
1つは労務対価ですが、もう1つは会社との委任契約に基づく受任業務に対するもので、経営結果による利益配当部分のため、役員というその地位にとどまる限り、休業をしても原則として補償されません。
労務対価にあたるかどうかは、その実態に応じて取り扱われるため、右記の 要素から判断します。

主婦(家事従事者)の休業損害について
家事従事者とは

性別・年齢を問わず、現に家族のために家事労働に従事する者の事を言います。従って専業主夫であっても休業損害は認められます。
もちろん性別や年齢は問いません。なお、家事従事者であることが前提のため、一人暮らしの無職女性の場合には、原則として認められません。
ただし、夫と死別して一人暮らしをしていた高齢の女性が、家事従事者として休業損害が認められた事例もあります。

主婦(家事従事者)の基礎収入の算出方法

家事従事者の損害算定は、原則として、賃金センサスの女子平均賃金により損害額を算定します。
平成25年の平均賃金は353万9300円、平成24年の平均賃金は354万7200円となっています。
この賃金センサスをもとに基礎収入を算定しますので、平成25年の場合、1日あたりの収入額は9697円(353万9300円÷365日、少数点以下四捨五入) となります。

家事従事者の休業日数の算定方法

家事従事者の労働は毎日ありますから、この日が休業日、とするのは非常に難しと思います。
いつを休業日にするか、またその期間がどの位になるかの目安や基準はなく、受傷した症状や治療状況によっても変わります。
さち総合法律事務所では、事案によって2つの方法で算定しています。

  • 通院した日数(実通院日数)を休業日として計算する方法 
  • 治癒した日または症状固定日までの全日を休業日として、
    症状の推移から事故発生以降の時間経過とともに、収入日額を一定割合に減じた額を基礎収入とする逓減方式
失業者の休業損害について
失業者とは

交通事故に遭った当時、失職などにより就業しておらず、収入を得ていない人を言います。
休業損害の前提が、被害者が事故に遭った時点で、現実として就業による収入を得ており、実際、休業により収入の減額が
生じている場合の補償であることから、原則、失業していた場合は休業損害は生じません。
例外として、労働能力や労働意欲があり、事故当時に就職が内定していた場合や、就職活動を行っていて、治療期間内に就労の蓋然性がある場合には認められることもあります。

学生・生徒・幼児の休業損害について
学生・幼児の休業損害

学生などは、本業が学業であることから、原則として休業損害は認められませんが、アルバイトなどにより収入を得ている場合には認められる場合があります。
また、治療が長期にわたり、学校の卒業や就職の時期が遅延した場合には、交通事故に遭わず、通常どおり就職できていれば得られたはずの給与額が休業損害として認められた事例があります。

過失割合

過失割合にこだわる

 過失相殺が行われてしまうと,その分だけ賠償額が減額され損をしてしまいます。たとえ10%でも過失を認めてしまえば,全部の損害額が500万円とすると,その10%分だけ減額され50万円の損をしてしまいます。
 過失相殺がやむを得ないときもありますが,保険会社の言い分通りの割合を素直に受け入れるのではなく,きちんと専門家の意見を踏まえて判断すべきです。
 また,過失による減額分を補償してくれる保険もあり,過失がある場合でも損をしないようにすることができます。

過失割合解決のポイント
過失相殺の基本的な考え方
 過失割合については,事故態様・原因を確定させたうえで,東京地裁が策定した「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に則って判断するのが原則とされています。例えば,自動車同士で,直進車対右折車の事故であれば,基本過失割合が直進車20:右折車80とされています。直進車は,交差点において優先される一方で,軽度の前方不注視などがあることが前提となっています。
 もちろん,これは「基本」の割合ですので,そのほかの修正要素があれば,加減して修正することになります。上記事例において,右折車が右折を開始したのが,直進車が交差点に進入したあと(停止線を超えたぐらい)であれば,「直近右折」となり,直進車の過失を10%だけ軽減して,直進車10:右折車90となります。

 ただし,この過失割合の基準表は,あくまでも基準ですので,絶対にこのとおりに適用されるものではありません。上記事例において,基準表では,直進車に軽度の前方不注視が認められることが前提となっていますが,例えば,全くそのような不注意もなく,右折車の右折開始があまりにも直近過ぎた場合には,直進車にはそもそも回避可能性がないために無過失となります。
 また,そもそもどの基準表に当てはめるべきかという点が問題となってくるケースもあります。追突なのか,巻き込みかで過失割合は大きく異なってきますので,注意が必要です。
 このように過失割合の判断は,基準表に機械的に当てはめて行えるものではありませんので,専門家の意見を求めることは非常に重要となってきます。
事故態様・原因について徹底的な検証
 基準表にあてはめる前提として,事故態様・原因について検証する必要があります。事故態様・原因について,当事者間で争いがある場合には,どちらの主張が正しいのか,証拠に基づいて主張・立証していく必要が生じてきます。
 もっとも基本的な証拠としては,警察が作成する実況見分調書が挙げられます。
 実況見分調書は,人身事故扱いとなったときに作成され,物損のときには作成されません。また,立会人は加害者が基本で,被害者は簡単に聴取されるだけのようです(双方が怪我を負っている場合には,ともに立会人となって2通の調書が作成されることがあります)。
 そのため,実況見分調書を取り寄せて検証すると,加害者側の一方的な主張のみが記載されていることが多々あります。もちろん,警察としても加害者側の一方的な主張が正しいと認定して作成するものではなく,裁判所もこれを鵜呑みにするわけではありません。ただし,一応の証拠としてはやはり存在しているので,どこがどのように違うのかを説明したうえで,加害者側の主張について矛盾点などを反論していく必要があるのです。

 ただ,実況見分調書の取寄せに始まり,調書内容の把握や検証作業などを一般の方が行うのは極めて困難であると思いますので,やはりこの点でも専門家に相談した方がよいと思います。
専門機関の利用
 事故態様・原因を巡る問題について,実況見分調書のほかに車両の損傷状況が有力な証拠となってきます。
 損傷の程度や傷の角度などから事故態様を証明することが可能な場合があります。
 もちろん,当事者や弁護士が損傷状況から事故態様を主張したとしても意味がないことが多く,専門家による工学鑑定を行ってもらう必要があります。この鑑定費用は高額になるケースが多いのですが,弁護士費用特約が利用可能であれば,この鑑定費用も保証されるので安心して使うことができます。

 弁護士法人 和氣綜合では,過失を巡って争いがあるケースで,工学鑑定による証明が期待できそうな場合には,専門機関に相談・依頼を行い,有利に展開できるようにしています。継続的に依頼を行っている専門家は,警察で科学鑑定を行っていたOBの方でまさに専門的知識を有しているプロフェッショナルと呼べる方です。
人身傷害保険によるカバー
 物損において,車両保険を利用すれば,過失割合関係なく補償を受けることができることはよく知られていると思います。人身の損害については,ご加入の自動車保険に付帯されている人身傷害保険を利用すれば,過失による減額分を補償してくれます(しかもこの保険を利用しても等級があがるなど不利益はありません)。
 人身傷害保険とは,被保険者が自動車に関係する事故によりケガ・死亡などしてしまったときに,過失に関係なく,規定にもとづき実際の損害額を算定して保険金を支払ってくれるというものです。規定の関係上,実際の損害額の3割~7割程度しか補償されませんが,過失があまり大きくない場合であれば人身傷害保険を利用することにより最終的に全額の補償を受け取ることができることになります。
 ただし,この保険を利用するにあたり注意が必要です。
 1、加害者側から賠償金を全額受領する前に先行して人身傷害保険から保険金を受領する必要があること(賠償金全額を受領してから人身傷害保険金を請求してもごくわずかな保険金しか受け取れません)
 2、被害者本人がご加入の保険会社に人身傷害保険の請求を行ったとしても,保険会社は応じない可能性が極めて高いこと(先行して支払った場合には保険会社が過失分だけ損してしまうから)。

 したがって,人身傷害保険を利用することを考えても専門家である弁護士に相談すべきでしょう。
まとめ
 過失によって減額されてしまうとそれだけさらに損をしてしまうことになりますので,きちんと専門家の意見を踏まえて判断すべきです。特に重篤な後遺障害が残存している場合などはそれだけ過失による減額が大きくなってきて,将来への生活不安も出てくると思います。
 弁護士法人 和氣綜合では,過失割合にこだわることは勿論,人身傷害保険などを利用して,被害者の方が過失で損をすることをできる限りなくそうとしています。

 加害者から過失を主張されたら,,,,,ぜひ弁護士法人 和氣綜合にご相談下さい。

逸失利益

後遺障害と逸失利益

後遺障害が残ると,労働能力が低下して将来の収入が減少することが予測されます。この将来の減収分を逸失利益といいます。
最終解決のときに将来の減収分を正確に予測することは難しいので,原則として,後遺障害等級に応じた,労働能力喪失率を掛け合わせて算出することになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(中間利息控除)

たとえば、骨盤骨変形や鎖骨の変形は、後遺障害等級表上12級5号に該当し、対応する労働能力喪失率は14%ですが、労働能力に影響を与えないなどとして逸失利益が大幅に減額さ れることがあります。
判例:移植のための骨採取による変形の場合脊柱、鎖骨・肩胛骨・肋骨の変形や、骨盤骨の一部を採骨したことによって変形が生じた場合、裁判では、加害者側から「等級に対応する 喪失率ほどは労働能力に支障がない。」といった主張がなされることが多々あり、裁判所もそのような主張を認める場合があるのです。以下にその一部の例をあげます。

Case.1〈大阪地判平10.4.17〉
頚椎前方固定術後の変形障害、その際の腸骨からの2個の骨片の採取に伴う骨盤骨変形のいずれも認めたが、後者については、労働能力に影響を与えないとした。
Case.2〈京都地判平14.2.14〉
右腓骨骨折を受傷した被害者について、「原告が自賠責保険により骨盤骨変形により12級5号、局部に神経症状を残すものとして14級10号、併合 12級の認定を受けたことは前記のとおりである。
しかし、骨盤骨変形障害は自賠責保険による保険金支払事由とはなり得ても、元来が、自家骨移植のため採取 しても支障がないとされる腸骨から骨採取を行った結果であり、それによる労働能力に対する影響が具体化しない場合は、自賠責保険による認定だけで、それが 直ちに労働能力に影響するとは考え難いのであり、本件でも、原告本人は、骨盤骨採取による痛みもない旨を本人尋問で認めて」いるとして労働能力喪失期間を 10年間、喪失率を5%とした。
Case.3〈大阪地判平14.3.13〉
右鎖骨骨折により、右肩関節障害(12級)、骨盤変形(12級)、併合11級を残した原告について、併合11級の後遺症逸失利益は、骨移植による骨盤骨の変形を除外し14%の労働能力喪失で認定した。
諦めないでご相談を!

このように、裁判所は、骨盤骨変形などについて等級どおりの労働能力喪失を認めることに消極的であるといえます。
もちろん、骨盤骨採取による変形の場合であっても、現実に発生している障害を評価して標準的な労働能力喪失率を認めている例もあります。
大切なのは、労働の内容・環境、就業状況などの具体的な事情に照らして、被害者が労働能力を喪失したことを主張・立証していくことです。
そして、仮に変形障害では逸失利益が否定されたとしても、変形によって生じた痛みが労働能力に対して影響していることを立証できれば、
神経症状による後遺障害が残存したとして、逸失利益が認められる可能性があります。これらは、損害算定の問題であり、弁護士の専門分野です。
ぜひ私たち弁護士法人 和氣綜合にご相談されることをおすすめします。

逸失利益のFAQ

後遺障害逸失利益って?
将来得られるはずだったけれども、後遺障害(後遺症)のために得られなくなってしまった収入のことを後遺障害逸失利益といいます。後遺障害逸失利益は、基礎収入に労働能力喪失割合を乗じて、これに労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を乗じて算定します。
基礎収入については、休業損害の場合と同様です。
若年者の逸失利益って?
若年者の場合は、年齢、職歴、実収入額と平均賃金との乖離の程度、その原因等を総合的に考慮し、将来的に生涯を通じて平均賃金を得られる蓋然性が認められる場合は、平均賃金を基礎収入として考えることもあります。
また、幼児、生徒、学生の場合は、原則として平均賃金を基礎収入とします。
自営業者の逸失利益って?
ご自分でお仕事をしていた方が、税金対策などで十分な申告をしていなかったり、副業の収入を申告していなかったなどの場合にも、低い申告額をもとに逸失利益が算定されてしまう場合があります。
このような場合、事故後に修正申告や所得申告をするとその額が収益と認められる場合がありますが、客観的な資料に基づく証明 が必要とされています。
家事従事者の逸失利益って?
休業損害の場合と同様に、家事労働を金銭に見積もることは非常に困難であり、家事従事者については、女性労働者の平均賃金額を基準とすることが原則です。
この基準をベースとして、年齢、家族構成、家事労働の内容等により増額を図っていくことになります。
たとえば、家族がたくさんいて一日中家事で重労働を強いられている方などは、基礎収入が増額される可能性があります。仕事も持っている兼業主婦の場合は、この平均賃金額と現実収入額の高い方が基礎収入となります。
高齢者の逸失利益って?
高齢だけれど、一生働き続けようと思っていたのに、もう働けなかったはずだからと逸失利益が認められないこともあります。
また、年金を受給していた方がお亡くなりになった場合には、これも逸失利益として認められることがあります。
ライプニッツ係数って?
逸失利益については、将来にわたる労働能力喪失に関する賠償について、現在時点で全て賠償してもらうのですから、将来得られたはずの収入を現在の価額に計算し直す必要があります。
ライプニッツ係数とは、このような中間利息(5%)を控除するための計算式における一定の係数をいいます。
労働能力喪失割合って?
後遺障害(後遺症)によって失った労働能力の割合を、労働能力喪失割合といいます。
具体的には、1級であれば100%、14級であれば5%の労働能力が喪失したとされます。
労働能力喪失期間って?
後遺障害(後遺症)を被ったことによって、労働能力が制限される期間を労働能力喪失期間といいます。
原則として、労働能力喪失期間の始期は症状固定日であり、終期は67歳まで、あるいは平均余命の2分の1の年数までとなります。
しかし、後遺障害(後遺症)が痛みやしびれなどの神経障害だけの場合、労働能力喪失期間が5年程度に制限されることがほとんどです。
収入減少の無い場合の逸失権利って?
後遺障害(後遺症)があるにもかかわらず、本人の努力で事故前と同じように仕事をこなし、収入が減少せずに済んでいるような場合、現実の収入の減少がないので、逸失利益を認めてもらうのは簡単ではありません。このような場合でも、弁護士法人 和氣綜合ではできるだけ逸失利益の支払いが得られるよう努力します。